【ドンマイ警部のパラレル事件簿】
FILE01.サンタ大繁殖の真相を追え
「鈍舞警部!大変です!この雪の中、街中にサンタクロースが溢れています!」
「そりゃ、クリスマスだからサンタの格好をした売り子なんて街中たくさんいるだろう?」
「違うんです!本物を自称するサンタが1人や2人じゃなく、10人や20人、いや、それ以上数え切れないくらいいるんです!」
「何だって?!」
「しかも、誰も彼もが自分が本物だと言ってきかないんです!」
「ふむ」
「しかも全員が同じ顔、同じ体型をしているので全員が同一人物に見えて見分けがつきません」
「もしかしてそれは・・・」
「さすが警部!何か心当たりが?」
「サンタ一人だけでは世界中の子供たちにプレゼントを配りきれないだろう?だからサンタは複数いると聞いたことがある」
「でも、今回の何十人といるサンタは顔の形も全て同じなんですよ?」
「双子の線か。いや、何十人子?」
「そんな兄弟いるわけないじゃないですか」
「それなら分身の術かもしれないな。サンタのルーツは忍者にあったのだ」
「そんな説は初めて聞きましたよ」
「甲賀か伊賀か・・・」
「いや、そういう問題では」
「それなら、クローン技術の発達で人工的に作られたクローンサンタでは・・・」
「クローンサンタ?」
「そのサンタを使って悪の組織が世界征服を狙っているのかもしれない」
「それなら別にサンタじゃなくてもいいじゃないですか。しかもサンタだったらクリスマスの1日しか使えない」
「それもそうだ」
「ちゃんと考えて下さいよ!」
「考えとるよ。サンタテロの可能性もあるな」
「テロですか?」
「この時期にサンタならみんな安心するだろう?その隙を狙って・・・」
「でも、それではみんな同じ顔という点が解決出来ませんが」
「うーむ、わしの推理で事件は解決に向かっていると思ったのだが、暗礁に乗り上げてしまったか」
「いや、最初から暗礁に乗り上がったままですが・・・」
コンコンコン、ガチャ
「失礼します!警部!複数のサンタの取調べを行ったところ犯人がわかりました!」
「何だって?で、犯人は誰だ?」
「お孫さんでした」
「孫?」
「取調べを行ったところ、あのサンタ全員に共通した一人のお孫さんがいることがわかりました」
「どういうことだ?」
「サンタは子供の願いを叶える存在じゃないですか」
「ふむ」
「あのサンタたちは自分のお孫さんの『おじいちゃんに会いたい』という想いの数だけ、その願いを叶えるべく増殖してしまったらしいのです」
「ほう」
「その結果、あのように同一人物がたくさん現れてしまったようです」
「なるほど。孫からすれば、おもちゃを貰うよりも、祖父に会えることの方が一番のプレゼントだったというわけか」
「悪の組織でもテロでもなくてよかったですね、警部」
「ゴホンゴホン、それで今の状況は?」
「はい、その真相を知って、サンタたちは手分けをしてプレゼントを配ろうと一致団結しています。この雪の中でも全員で協力すれば早くお孫さんのところに帰れるからと」
「おぉ、それは良かった。雪降って爺(地)固まるか」
「(スルーして)これで事件も解決ですね」
「うむ。今回は愛ゆえに起こった事件だったな」
「警部はクリスマスどうするんですか?」
「わしもサンタのお孫さんのように愛してくれる家族がいればいいのだがね」
コンコンコン、ガチャ
「失礼します!鈍舞警部!大変です!街中にトナカイが溢れています!」
「そりゃ、クリスマスだからトナカイの格好をした売り子なんて・・・って、さっきも同じような台詞を言ったような気がするが」
「違うんです!何十匹、何百匹の本物のトナカイが放たれて街中大パニックです!」
「ふぅ。サンタの次はトナカイか。どうやらわしも事件からは大そう愛されているようだな・・・」
「警部はメリークリスマスじゃなくて、メリークライム(Crime)マスですね!」
「うるさい!家族もいないシングル・ベルなんだからいいんだよ!早く捜査に向かうぞ!」