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「またくだらないことばっかりして!」は最高の褒め言葉だと思ってます。
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唐突な神様
朝のスクランブル交差点を歩いていると突然目の前に神様が現れた。
「君のスペックはいくつかね?」
八百屋で大根の値段を尋ねるかのような口調で神様が問いかけてきた。
「えーと、A4より少し小さいくらいです」
相手が神様なら仕方ない。
通勤時間なので急いでいたのだけど正直に答えた。
「そうかそうか、それにしても今日はバナナ日和じゃのう」
神様は僕の答えなんてまるで興味無さそうにそう言った。
「そうですね。こんな雲ひとつない天気の日にはバナナが良く似合います」
僕がそう答えると神様は駄々をこねる子供のように手足をバタバタさせて、「そんなのはテレビっ子の発言じゃぞ。以後気をつけるように」と口調を荒げた。
よくわからないまま怒られて呆気に取られている僕を尻目に、神様は組み体操の扇の右端のポーズを取っている。
「それじゃ、ワシはもう帰る」
いきなり神様はそう言い出すと、シャンパンのコルクを抜くような「ポン!」という音がして、耳が通常の2倍はありそうな象が目の前に現れた。
神様は象の鼻を伝ってひょいと背中にまたがると「ハイヨー」というかけ声をあげてその象を動かし始めた。
あの大きな耳を羽ばたかせて飛んで行くのかなと、一瞬期待したけれど、象はそのまま地面に垂れた大きな耳を引きずりながらのそのそと道路を歩いていくだけだった。
「その象に乗ってどのくらい行くのですか?」と聞くと、神様は僕の質問に少し困ったような顔をして「3日くらいじゃよ」と所在無さげに答えた。
次に「3日も象に乗ってどこまで行くのですか?」と聞こうとしたけれど、腕時計を見ると会社に遅刻してしまいそうだったのでやめた。
信号がぱちくりとまばたきを始めたので、急いで交差点を渡り、後ろを振り返ってみると、さっきまで象の背中に乗っていた神様はもういなかった。
象は信号のまばたきなど気にせずに、相変わらず交差点の真ん中を大きな耳を引きずりながらのそのそと歩いていた。
by earll73 | 2008-05-28 01:37 | アレ散文
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