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「またくだらないことばっかりして!」は最高の褒め言葉だと思ってます。
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キュウリから山芋 (Respect)
この物語を今は亡き友に捧げます。 
2006.05.12 小栗播人


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「山芋運送と掛けまして、キュウリと解きます」
「その心は?」
「車はキュウリ止まれない」
「わっはっはっはー」
「うまい!内山田くん、キクさんに一枚やって下さい」
ブラウン管の中では黄色の着物を羽織った落語家の回答に、会場がどっと沸いていた。

・・・どこが面白いんだろう?
俺にはそれがわからなかった。
ただのダジャレだよな?
この回答にそれ以上のものがあるのだろうか?
俺の笑いの琴線には触れない何かが・・・?
大多数の人は今のを聞いて面白いと思ったのだから、俺の笑いのセンスは少数派なのか?
いや、でもこの答えはおかしくはないか?
山芋と掛けたのにその答えにはキュウリしか出てこないではないか。
車だけなら山芋は必要ないのでは?
この山芋運送から何かを掴めということ?
そこにこの問い掛けの鍵があるのだろうか?
いや、しかし・・・
山芋運送から何を読み取ればいいというのか。
そこまで高度な笑いが今の回答に凝縮されていたとでも・・・?

キュウリ、山芋、キュウリ、山芋、キュウリ・・・
頭の中でキュウリと山芋がグルングルンと宙を舞う。
キュウリ、山芋、キュウリ、山芋、キュウリ・・・

俺は気が狂いそうだった。
いや、もうこの時、すでに狂っていたのだろう。
何かが止まらない衝動で、着ていたシャツを脱ぎ捨て、Tシャツもジーンズもパンツさえも脱ぎ捨ててしまった。
そして、このまま家を飛び出し高速道路を駆け抜けたい衝動が襲ってきた。
「うぉー!キュウリィー!」
俺は思わず叫び声を上げてしまった。
この雄叫びをきっかけに、テレビを見ていた2階の部屋から階段を駆け足で降り、家の廊下をそのまま走り出した。
玄関までたどり着き、ドアノブに手を掛ける。
ガチャッ。
勢いよくドアを開けると、力強い夕暮れの西日が俺の目をかすめさせた。
まばゆさに目がくらみ、その強烈な陽光に照らされた時に、俺は自分自身が病んでいるのかもしれないと気付かされたのだった。
そして、同時にキュウリから山芋の答えにも。

・・・俺は病んでいる。
病・・・?
やまい、も・・・?
キュウリから病も。

そういうことだったのか。
俺はまんまとあの黄色い着物の落語家にはめられたのだった。

全てを理解した俺は、清々しい気分で玄関から飛び出した。
もちろん、大爆笑しながら一糸纏わぬ姿のままで。
by earll73 | 2006-05-12 16:30 | アレ散文
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