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「またくだらないことばっかりして!」は最高の褒め言葉だと思ってます。
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【第一回上清水賞応募作品】 闇雲館の謎 ~後編~
もう、みんな知ってると思いますが、↓の前編からお読み下さい。

【第一回上清水賞応募作品】闇雲館の謎 ~前編~

【登場人物】
クサカ・ユウ(BAR)・・・私
シンドウ・ケイ(RING)・・・闇雲館の主人
ヤマサキ・ヒロミ(KEY)・・・チャット「パズラー?パズラー」の管理人
イシバシ・リン(上海)・・・チャット「パズラー?パズラー」の常連
カタオカ・カオル(バカラ)・・・チャット「パズラー?パズラー」の常連
モリ・ナオミ(CROSS)・・・チャット「パズラー?パズラー」の常連






闇雲館の謎 ~後編~  小栗ばなな

そしてあの事件から3日が経った。
現在、『月と星』はBARことクサカ・ユウ、私の手にある。
どうしてそのような事になったのかお話しよう。

あの事件の時に屋敷内にいたのは、
KEYこと、チャット「パズラー?パズラー」の管理人ヤマサキ・ヒロミ氏、
上海こと、イシバシ・リン氏、
バカラこと、カタオカ・カオル氏、
そしてあの腹を刺された初老の男性の4人のみだった。
KEY氏と上海氏はあの入りくねった場所にある応接室に、バカラ氏は離れにあるトイレに行っていたという。
館の主人のRINGこと、シンドウ・ケイ氏は私を出迎えるべく玄関まで出てきていたので、私と一緒にあの男性が血まみれになって駆け出してきたところを目撃している。
CROSSこと、モリ・ナオミ氏はまだこの時は闇雲館には到着していなかった。
あの事件の10分後に闇雲館にやってきている。
刺された初老の男性は、RING氏の執事であった。
RING氏の迅速な応急処置により、すぐに病院に運ばれ一命は取り留めた。
念のため検査も含めて1週間ほど入院すれば回復するそうだ。
私もRING氏と一緒に病院まで付き添ったのだが、執事氏は意識もしっかりしており、刺された時の状況を語ってくれた。
私が聞いた状況はこうだ。

『月と星』はあの応接室よりさらに奥に進んだ部屋、通称チルドレンズルームに置かれていたという。
チルドレンズルームとは子供部屋、RING氏にとってはパズルコレクションは子供たちなのだ。
その部屋には知恵の輪の『月と星』以外にも、カラフルなカードを使用した芸術性の高いパズル『Paint of Beer』や、あらゆる種類の言語を使い、言葉遊びを楽しむよう工夫されているクロスワードパズル『LITTLE NUTS』なども保管されていた。
だが、盗まれたのは『月と星』だけであったらしい。
執事氏が今回のオフ会のために、チルドレンズルームから応接室へ『月と星』を持ち出そうと部屋に入ったときの出来事だったそうだ。
部屋の中にいた覆面をした人物に突然腹を刺され、犯人は『月と星』を盗み逃亡、執事氏はそれをRING氏に伝えるべく刺された体で玄関まで走ってきたということだった。
部屋に入るなり突然の出来事だったので執事氏はその犯人の体格も風貌も覚えてないという。

その後病院から闇雲館に戻った私たちは、応接室で各自のアリバイなどを探り合った。
皆、誰もが疑惑の眼差しで仲間たちを見ている。
それは仕方ないことだった。
こんな状況になってしまっては自分以外信じられる者がいないのだ。
所詮はネット上で知り合っただけの仲である。
私たちはお互いの事を何も知らない。
そう、何も知らないのだ。
KEY氏と上海氏は応接室にいたと言うが、二人が共犯の可能性もある。
タイミングよくトイレに立ったバカラ氏も怪しい。
いや、その場にいなかったCROSS氏こそが真犯人で、何食わぬ顔をして後から登場してきたのかもしれない。
そう考えると誰もが犯人に思えてくる。
この中のメンバーではない第三者の犯行なのかもしれない。
そう考えるのが普通であろうが、今日このメンバーが集まったことと、その時に『月と星』が盗まれたということが関連していないとは思えなかった。
不安、疑惑、恐怖、負の感情ばかりがこの部屋に充満している。
その空気を悟ったRING氏がオフ会の中止を告げ、今回の事件に巻き込んでしまったことを謝罪した。
幸いにも執事氏の傷も浅く、この事件は警察にも届けないという。
オフ会は解散となり、不安を拭いきれないまま私たちは家路に着くことになった。

次の日、私は執事氏から聞いた話を思い出しながら考えていた。
昨日のメンバーで「知恵の輪」を愛好しているのは闇雲館の主のRING氏だけだ。
私も一度は見てみたいと思っていたが、盗もうとまでは思わない。
多分それは他のメンバーも同じはずだ。
もし、バカラ氏が犯人だとしたらカードパズルの『Paint of Beer』、CROSS氏であればクロスワードパズルの『LITTLE NUTS』のほうを手に入れたいはず。
では、KEY氏と上海氏が共犯なのだろうか?
共犯だとすればどちらかが見張り役になるだろう。
人を刺すなどということはリスクが大きすぎる。
仮にもパズル愛好家がこんなことに気付かないはずがない。
RING氏は私と一緒に一部始終を見ていたので犯行は不可能。
とするとやっぱり外部の犯行か?

・・・その時ふとある仮説が浮かんだ。
まさか、この仮説が正しければ犯人は・・・
私はすぐさまRING氏にアポを取り闇雲館へと再び向かった。



トントントン、玄関をノックする。
すぐに扉が開いて中から聞き覚えのある声がした。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」

扉を開けてくれたのはあの執事氏だった。
覚悟は出来ていたつもりだったが、さすがに現実にこの状況に対面すると私も驚きを隠せずとっさに言葉が出てしまった。

「し、執事さん、怪我は?」

「おかげさまで。さぁ、応接室へ。お話を聞きましょう。」

執事氏は昨日の事件などなかったかのように振舞っている。
しかし、これで私の推理にも確信が持てた。
テラスを抜け、階段を上がり、六畳間の和室に辿り着く。
「この闇雲館の入り組んだ間取りはやはり・・・」
そんなことを考えているうちにいつの間にか中庭に辿り着き、いくつもの部屋を抜け、エレベーターに乗り、やっとのことで応接室まで辿り着く。
執事氏が応接室の扉を開ける。

「どうぞ、お掛けになってください。」

中には誰もいないようだ。

「あ、あの、RING氏は?」

「あなたはもうお気付きでしょう。そのためにここに来たのではないのですか?」

執事氏のその言葉からは全てを見透かされているような気がした。
しかし、その言葉通り私はあの事件の真相を確かめにきたのだ。

「・・・そうです。私の話を聞いてもらえますか?」

「わかりました。聞きましょう。」

そして、私は執事氏に向かって自分の推理を一気に話し始めた。

「では、私の考えたことをお話します。
まず、病院であなたから事件の話を聞いた時、何か引っ掛かるものがありました。
一つ目はあなたの傷です。あの出血でこの応接室よりも奥にあるコレクション部屋から玄関まで走ってくるということが可能でしょうか?
今、玄関からこの応接室までの時間を計ってみました。玄関からここまで約3分です。
仮に走らずに歩いたとしてもこれだけの距離をあの出血で歩けますか?
私たちが病院から戻って応接室に入ったとき、玄関からここまでの道のりには血の一滴も付いていなかった。
あなたが刺されたというのは全員が知っているので、犯人が血を拭き取るメリットもないはず。
とすると、あなたが刺されたと言って玄関まで走ってきたのは演技だとしか考えられない。
そして二つ目は、あなたは『月と星』だけが盗まれたと言いました。
そのあとには、突然の出来事だったので犯人の風貌はわからないとも。
犯人の姿もわからないのに何故盗まれたものだけがわかるのでしょう。
刺されてまで部屋を確認する余裕があったのですか?
やはり、あれは全てあなたの狂言だった・・・

・・・そして、あなたは執事ではない。そうですね?ホンモノのRINGさん?」

目の前の男は私の問いにも答えず口を噤んでいる。
しかし、私を見る眼差しは凛としていた。

「答えて頂けないのなら続けます。
私がこの館に着いたとき、出迎えてくれたのはRING氏でした。
しかし、あなたは執事なのに出迎えには来なかった。
お客さまを迎えるのは執事の仕事ではないのですか?
わざわざ主人が出迎えに来たというのに、あなたは姿さえも見せなかった。
これはニセRING氏のアリバイ作りのためですね。
そして、出迎えられた瞬間にあの事件が起きた。
あの時は私も気が動転していたので気付かなかったが、今考えてみるとおかしい事だらけだ。
私は試されていたのですね。
事件が起きたときは、CROSS氏はまだここに着いていなかった。
もし、この事件が意図的に起こされたものだとしたら、メンバーが完全に揃ってからのほうがお互いの不安や疑惑を煽れるはずだ。
だが、私のほうがCROSS氏よりも先に闇雲館に着いてしまったので、あなたはすぐに実行するしかなかった。
このオフ会がとんとん拍子に決まったのも、チャットのオーナーKEY氏も共犯だからではないですか?
いや、今回集まったメンバーは皆共犯で、私だけが知らなかった。
私を試すためにこんな大掛かりなことを仕組んだとしか考えられない。」

私はじっと目の前の男の瞳を見つめる。

男はかすかに微笑むと一言発した。

「続けてください。」

「続けます。次のこの闇雲館。この館の構造は普通では考えられません。
何故このような複雑な間取りになっているのでしょう。
それは各部屋が移動式になっているからですね?
この館自体がパズルになっている。
そして、その館を動かす鍵となるのが、その『月と星』なのではないですか?
今の技術なら、家を丸ごとパズルにすることも可能です。
外観を古く見せてあるのもカモフラージュなのですね。
ネットワーク家電どころか、この館は最新IT技術の宝庫だ。

私の職業はバーテンダーです。
毎日何十人も、累計何百人何千人もの人々を見てきている。
職業柄、その人の目を見れば話す内容が本当か嘘かくらいはわかるつもりです。
あなたと病院で話した時、事件後に皆のアリバイを証明し合った時、
「この人たちは嘘をついている。」
私は直感でそう思いました。
何も手掛かりがないあの時はそれは口に出せるような言葉ではなかった。
しかし、今、冷静になって考えてみると殺人未遂事件があったのに警察に届けないのは何か理由があるとしか思えない。
しかも、事件があった時に誰一人として取り乱すものがいなかった。
普通こんな事件を目の当たりにしたら取り乱して当然でしょう。
そこから私には全ての人が共犯なのではという疑惑が沸いてきました。
そしてあなたの傷も。病院の医師までも共犯だとは。
しかし、なぜこんな手間のかかることをしたのかがわからなかった。
それも、なぜ私に向けて?」

私の問いかけにその男はゆっくりと、そしてはっきりとした口調で話し始めた。

「感心しました。そこまで見抜いていらっしゃるとは。ほぼ正解に近いです。
あなたの推理通り、私がRINGです。昨日RINGを名乗っていたのは協力者の一人です。」

「やはりそうでしたか。」

「私は長年パズルをコレクションしてきました。しかし気付いたのです。
皆に触られて、遊ばれてこそパズルなのではないかと。
今は遊びと言ったらパソコンにTVゲーム、バーチャルの遊びばかりです。
最近は知恵の輪やマッチ棒パズルのようなアナログパズルを経験したことがない大人も多くいます。
そういう人々にもパズルの楽しさを知って欲しい。
そこで私はアナログパズルの普及に向けて、私のコレクションをお譲りすることにしたのです。
今回のオフ会参加者はあなた以外、全て以前に私がコレクションをお譲りした方々です。
彼らもまた今回と同じような”パズル”が解けたので、私のパズルコレクションを譲るのに相応しいと判断しました。
KEY氏は小学校の教師、バカラ氏はペンション経営者など、周囲の人物に影響を与えられるような職業の方々に私のコレクションをお譲りしているのです。
そしてあなたもその一人。
バーテンダーもパズルの普及にはうってつけの職業です。
失礼ながら、あなたの身辺も調査しました。
あなたのバー「ANIMAL INDEX」にも私は通ったことがあるのですよ。
あなたと直接は話はしてませんが、あなたがカウンターでお客さまとマッチ棒パズルをしているところを眺めていました。
そして、「パズラー?パズラー」の常連であったということもあり、あなたにコレクションをお譲りするために今回の”闇雲館のパズル”を仕組んだのです。
あなたは賢い。私の出したパズルにも正解した。『月と星を』受け取る資格は十分にある。
貰って頂けませんか?この『月と星』を。」

「・・・そうなのですか。動機がやっとわかりました。
しかし、受け取るのはいいのですが、知恵の輪は私の得意分野では・・・」

「ええ、だからこそです。パズルにはいろいろな種類があります。しかし、根底は全て同じなのです。
パズルというものは、いくら考えても解けないこともあります。逆に一瞬の閃きで全てが解けてしまうこともある。
熟年のパズラーが一晩かけても解けないパズルも、初めてパズルを触るような人が簡単に解いてしまうこともある。
これはかなり理不尽です。ですが、そこがパズルの面白さなのです。
だからいろいろなパズルにチャレンジしてほしい。
あなたのような賢い人ならパズルというものをもっと発展できるはずです。
「ANIMAL INDEX」であなたとお客さまが『月と星』に挑戦しているところを見せて頂けますかな?
あなたに受け取っていただければ私の子供たちの未来は明るい。」

RING氏はそう言うと、私に『月と星』を渡し、アナログパズルの普及に協力してほしいということを述べた。

そして、私はRING氏の考えに賛同し、『月と星』を受け取ったのだった。
この事件は未だに信じられないが何とも不思議な体験だった。
しかし、私にはRING氏の出した"パズル"が全て解けていなかった・・・

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「それと、一つだけ訂正をしておきます。私はアナログパズル愛好者ですよ。
この闇雲館には館自体がパズルだとか、そんな大そうな仕掛けはありません。
老朽化した館をただやみくもに改装していったら現在のような間取りになってしまっただけです。
そこだけですね。あなたが唯一解けなかったパズルのピースは。」













**********上清水賞テンプレ**********
【ルール】
 2人1組で参加するタッグ戦(ダブルス)です。

参加の流れは、以下の通り。

 1・一緒に参加するパートナーを探す
  2・トラバ作品の導入部(事件編)を受け持つか、解決編を受け持つか、2人で相談して担   当を決める
  3・前半部担当者が、この記事にトラックバックする
  4・上清水からお題発表
  5・後半部担当者が、前半部の記事に解決編をトラックバックする

1人目は自由に事件を発生させて(謎を提示して)ください。
2人目は、その事件の解決部分に、上清水から出されるお題を絡めて書いてください。
 
 エントリー期限は前半部担当者が9/25 21:00。
 上清水のお題発表は9/26 21:00。
 後半部担当者が10/2 21:00。
優勝者発表は10/3 21:00を予定しております。
 
 【審査方法】
 ●巨匠・上清水一三六が自ら最優秀作品を選出。
    その他、編集者・入江賞も選出予定。
 
 ●参加条件はすべてのブロガーによるチーム。
  TB人数制限はありません。原則として1チーム1TBですが、パートナーが異なる場合には別チームとみなしますので、相手を替えれば何作品でもTB可能です。

 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペお願いします。

 ★会場   上清水一三六のがき?んどよよん
http://kshimiz136.exblog.jp 
    企画元 激短ミステリィ    
http://osarudon1.exblog.jp
**********上清水賞テンプレ**********



マムさんすんません。
あんなにいい前編の舞台設定だったのに全く拾いきれませんでした。
闇雲館も登場人物も。
あー、ミステリィって難しい。
ところどころにある穴を指摘しないように(笑)
後編は無駄に長い説明文だけで終わってしまいました。
がっくし。
by earll73 | 2004-10-03 20:49 | TB参加
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