「またくだらないことばっかりして!」は最高の褒め言葉だと思ってます。
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最後の手紙
お久しぶりです。お元気ですか。
こちらはもう新緑も芽吹き、青々とした葉を繁らせる木々たちの生命力にただ感嘆するばかりです。
暖かくなってきたので最近はよく夜に散歩をするようになりました。
家の近くの川沿いを散歩するのですが、今の季節は夜の匂いと新緑の匂いが重なり合って歩いているだけで気持ちよく、とても幸せな気分になります。

さて、突然の手紙に驚かれたことだろうと思います。
もう君に手紙を出さないと自分自身に誓ってから随分と時が経ちました。
やはり君に伝えたいことがあって最後の手紙を書くことにしました。
電話やメールで伝えようかとも思いましたが、手紙の方が素直に自分を表現することが出来るような気がしたので、手紙という形で君に伝えたいと思います。

僕たちがすれ違ってしまったのはどうしてなんだろうと今でも考えることがあります。
それは君への未練ではなく、同じ過ちを繰り返さないための反省だと解釈して下さい。
もっときちんと君と向き合えればあの過ちは起こらなかったのか、自問自答しても未だに答えは出ません。
僕らは同じ未来を夢見ていたはずなのに、あんな些細なことでその夢の軌道が逸れてしまうとはあの頃の僕らに想像出来たでしょうか。

あれからもうだいぶ経ちましたが、歌や観葉植物が大好きだったことや、少しおっちょこちょいなところなど、僕の知っている君からは変わりましたか。
僕はあの頃と変わらないつもりでいます。
いや、変わらないで生きていくことなど出来ないのかもしれません。
だから、僕をよく知る君から見れば僕もきっと変わってしまったんだろうと思います。
それが良いほうに変わっていければ、僕らがすれ違ってしまったことにも意味があったのだと言えるような気がします。
あ、そうやって何でも意味づけをしようとするのが僕の悪い癖ですね。
昔、君に言われたことを思い出しました。
はは、そういうところは今でも変わっていないのかもしれません。

あの頃僕らは何通もの手紙のやり取りをしましたね。
君は僕からの手紙を一通でも読んでくれたでしょうか。
いや、読んでくれたのならこんな結果には、こんな未来を迎えることにはならなかった。
それだけは確実に言えると思います。
そして、僕も君からの手紙を読まなかった。
どちらに非があるだとか、今更そんな不毛な争いや言い訳をするつもりはありません。
ただ、そこに僕らが気付いていればということが悔やまれてなりません。
先に未練がないという話をしましたが、やっぱりそうでないのかもしれません。
君に最後の手紙を書くということで自分自身にけじめをつけるつもりでしたが、書いているうちにこの手紙を書く意義が変わってきてしまいました。
それも多分、手紙という媒体だからなのでしょう。
電話ではここまで素直に話すことは出来ないし、メールではもっと無機質になってしまいます。
だから、自分の気持ちを整理するという意味では手紙にして良かったのだと思っています。

でも、きっとこの手紙が届いても君には読んでもらえないでしょう。
それも分かってこの手紙を書いています。
そう思って書くほうが素直に想いを伝えられるから。
これが君へ向けての最後の一通です。
何だか男らしくないメェメェしい手紙になってしまいましたがそれも僕の本当の気持ちということで勘弁してください。
もし、君がこの手紙を読み返信をくれることがあるなら、過去の過ちを繰り返さないように僕は気をつけるつもりです。
歩く道は違えどもまた君と同じ未来が見たいから。


親愛なる白ヤギさんへ


黒ヤギより
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by earll73 | 2009-05-09 00:19 | 散文
四月の海
ゴールデンウィーク間近の何でもない週末。
何となく海が見たくなって海岸線を車で走る。
午前二時の走行は対向車もなく、等間隔に続く街灯だけがこの世界の秩序を支配しているようだった。
助手席側の窓から見える夜の海は、全てを飲み込んでしまうかのようにただ大きくどっしりとそこに腰を下ろしている。

「嫌いになったわけじゃないけど、少し距離をおきましょう」
彼女はそう言って僕の元から離れていった。

アクセルを踏み込み車のスピードを上げる。
そのスピードに比例して窓の外の風景も放たれた矢の残像のようにぼやけていく。

僕は彼女を引き止めなかった。

車は薄い月明かりの下をさらに走る。
ゆるいカーブに差し掛かった時、前方の海の中に青白い光のようなものが見えた。
夜光虫だろうか。
近くに車を止め、降りて革靴のまま砂浜を歩く。
冬が忘れていったような冷たい海風が水平線の方から吹いてくる。
四月の海はまだ寒い。
彼女と付き合いだしてからはやめていた煙草をポケットから取り出し火をつける。
肺の奥のほうまで深く煙草を吸い込むと、それをゆっくりと吐き出す。
煙草の煙と共にいくつかの想いも吐き出され、夜の闇に消えていく。
数年振りに吸ったタバコは以前吸っていた頃の味とは違った味がした。
夜の海の静寂の中に波の音だけがやさしく響く。
それは永遠に回り続ける壊れたレコードのように、繰り返し繰り返しその音色を奏で続けている。
視線を沖の方へ向けると、まるで僕の心を映し出すかのように、夜光虫が青白い光を放って海面がゆらゆらと揺れていた。
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by earll73 | 2009-04-18 23:34 | 散文
交錯しない世界
「ほら、見て。あそこにいる水鳥の羽は七色していてまるで虹みたい」

「うん。綺麗だね」

僕は彼女の言葉を否定しなかった。


雨上がりの湿った空気と土の匂いが充満する公園では、まだ新緑が芽吹かない木々たちもここ数日の雨ですっかり水気を吸って精気を蓄え、来るべき季節に向けて幹の色を濃くしている。
公園には僕らと同じく散歩しているカップルや、ジョギングをしている中年のおばさん、大きなキャンバスに写生をしているおじいさんなど、それぞれが皆、冬の終わりを告げる雨からの解放感を楽しんでいた。
春間近の柔らかい陽光を受けて、池の水面は新しい季節の準備をするようにキラキラと音もなく輝いている。
彼女が七色の羽をしていると指差したのは、その池に浮かぶカルガモのことだった。
僕には全身が茶褐色をした普通のカルガモに見えるのだけど、彼女には確かに七色に見えているのだろう。
彼女はある時を境に突拍子もないことを言うようになってしまった。

「あのペガサスの乗り物に乗って空を飛んでみたいな」

「イタチに首輪を付けて散歩させるなんて変わってるね」

「あそにの葉っぱの影に綺麗なビー玉がたくさん!」

そんな時の僕の反応は「うん」とか「そうだね」とか相槌を打つだけだ。
池に浮かぶスワンボート、チワワを散歩させている人、葉の茂みに溜まった雨の雫。
多分、それらのことを彼女は言っているんだろうと思う。

僕には彼女の見えているものは見えない。
僕の見ている世界と、彼女の見ている世界はある時から違ってしまったのだ。
それは1年前の交通事故。
一命は取り止めたものの、その事故で彼女は脳に大きな障害を残すこととなってしまった。
医者からは脳の認識を司る部分は手術のしようがないので、彼女は一生このままの可能性が高いと言われた。
身体に大きな怪我が無かっただけ奇跡だと言われたけど、僕はきっとまた彼女が僕と同じ世界に帰って来てくれると信じている。
それはいつになるかわからないけれど、一生かかってでも僕は彼女を守っていくつもりだ。
僕が好きな彼女の無邪気な笑顔は事故の前と全く変わっていないのだから。


「すいませーん、ボール取ってくださーい!」

振り返ると野球帽を被った少年がこちらに向けて手を振っている。

「あ、ボール・・・」

彼女はそう呟くと自分の足元に転がってきたそれを拾い上げて僕に手渡した。

「投げ返してあげて」

僕は受け取ったそれをマジマジと見つめてみたが、それはボールには見えなかった。
どう見てもこれは亀の子たわしだ。
しかし、彼女にはこれがボールに見えているのだ。
彼女の笑顔が輝きを失わないためにも、ここで僕がそれを否定するわけにはいかない。
その時、不意に背筋をざらざらとした舌で舐められたようなゾッとする空恐ろしい奇妙な感覚に襲われた。

何かがおかしい。

少年はボールを取って下さいと言った。

彼女もボールが転がってきたと言った。

僕にはボールではなくたわしに見える。

これはどういうことなのだろうか。
あの少年も頭を怪我をしていて彼女と同じものが見えている。
そんな偶然はありえない。
これはどう見てもたわしだ。
二人は同じものが見えている。
見えていないのは僕だけ。
二人から担がれているのか。
いや、相手はいま会ったばかりの見ず知らずの子供だ。
それならまさか・・・
手の中のものをじっと見つめながら呆然と立ち尽くす僕を不思議そうに彼女が見つめる。

「早く投げ返してあげなよ」

僕の不安を察してか、その言葉の陰でほんの一瞬だけ彼女の表情が曇ったのを僕は見逃さなかった。
その時全てを理解した。
やはり僕が見ている世界と彼女が見ている世界は違うのだと。
この公園のもうすぐ春になろうとする活力に溢れた木々たちも、太陽の光を反射させて銀色に輝く美しい池の水面も、そこで趣味を嗜む様々な人々も、僕がいま見ている世界は全て僕だけの世界。
世界が交錯していないのは彼女の方ではなく僕のほうだったのだ。

では、彼女が事故に遭ったという記憶も偽物の記憶なのだろうか。
いや、もはやそんなことはどうでも良かった。
ただ、世界の全てが交わらなかったとしても、いま見ている彼女の笑顔だけが本物であればそれでいい。
そんなことを思いながら僕は渡された"ボール"を力なく握った。
僕を見て微笑む彼女の中の世界でも、彼女は僕に笑顔を見せてくれているのだろうか。
例えそうでなくても、僕の世界の中では、彼女の笑顔は真実だった。
誰とも交錯しない世界だとしても、僕の世界だけは僕を裏切らない。
そう考えると少し救われたような気がして、"ボール"を握り締めた右手に少しだけ力を入れて、メジャーリーグの投手のように大きく振り被り少年の方へと投げ返した。
山なりに投げられた"ボール"は空中で何回転かすると、ワンバウンドをして少年のもとへと無事戻って行った。

「ありがとうございましたー!」

少年の澄んだ声が気持ちよく辺りに響く。
隣を見ると僕の世界の彼女が僕の大好きな笑顔で微笑みかけてくれていた。
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by earll73 | 2009-03-18 19:41 | 散文
最後の咆哮
俺に与えられた時間は残り少ない。
2週間後には俺はもうこの世にはいないだろう。
しかし、俺が生きているうちに体に鞭を打ってでもある女を捜さなければならない。
それが俺の生きてきた証になるのだから。
長い間地下潜伏をしていた俺にはシャバの照りつけるような陽射しは眩しすぎた。
シャバは唸るような暑さで、この季節の申し子のような入道雲は、はみ出し者の俺を歓迎するはずもなく、ただただ近くて遠い空に夏の威厳を放って張り付いていた。
俺は今まで潜伏中に着ていた愛着のあるコートを脱ぎ捨て、なるべく目立たないように茶色のジャケットを羽織る。
シャバは危険に満ちている。
俺がシャバに出てきたことは奴らも気付いているだろう。
奴らに捕まったら一貫の終わりだ。
俺は奴らの包囲網をかい潜り、女を捜さなければならない。
しかし、俺には時間がない。
覚悟を決めた俺は、大声で女の名前を呼びながら街から街へと飛び回った。
それは呼ぶというより、叫び声に近かったかもしれない。
奴らに気付かれてしまうので、一つの場所に長時間滞在するわけにはいかない。
しかし、大声で呼びながらでないと俺の捜し求める女は見つからない。
そんなジレンマを抱えながら、ある時は都会のアスファルトの照り返しの中を、またある時は郊外の深々とした森の中を、そしてまたある時は肌に纏わる海風に揉まれながら海岸線の松林の中をと、至る所を放たれた弾丸のように駆け回った。
一度放たれた弾丸はもう弾装には戻れない。それは俺も同じだった。
もう地下には戻れないし戻りたくもない。
ここが俺の最後の死に場所なのだと自分自身に言い聞かせて、街から街へと彷徨い続ける。
己の強さと偉大さを誇示するかのようにジリジリと照りつける太陽。
かと思えば、駄々をこねた子供が突然泣き出したかのように降り出す夕立。
この季節の理は残酷なくらい確実に俺の体力と寿命を奪っていく。
もうどれくらい捜し回っただろうか。
不毛な縄張り争いのいざこざに巻き込まれたこともあった。
俺と似たような境遇の男に出会い一晩語り明かしたこともあった。
しかし、未だに俺の求める女は見つかっていない。
太陽と月は何度俺の天辺を巡ったのだろう。
日に日に体力が落ちていくのがわかった。
俺に残された時間はもう残り少ない。
ほとほと疲れ果てた俺は、立ち寄った神社の境内で少し休むことにした。
久々にゆっくりと空を見上げると、夕暮れでオレンジ色に染まった西の空は、この世のものとは思えないほど美しく、夕焼けのカーテンが俺の鉛のように重くなった体を包んでいた。
熱帯夜を運んでくるような生暖かい風を受け、目をつぶると、全身の力が抜けていくのを感じる。
俺の寿命もそろそろかもしれない。
この時俺は完全に無防備だったのだ。
疲れた頭からは奴らが俺を狙っていることなどすっぽりと抜け落ちていた。
その時だった。
ガサッ!
奴らは俺が休むところを狙っていたのだ。
「しまった!」と気付いた時にはもうすでに遅し。
細かく格子状に縫われた網が俺の全身を覆う。
網を抜けて飛び立とうと思っても、もう全身に力が入らない。
今の俺にとっては、網とはいえ鉄格子の中にいるのと同じ状況のようだった。
志し半ばのこんなところで奴らに捕まるなんて。
しかし、もう飛び立てないほど憔悴しきった俺にはお似合いの死に場所かも知れない。
死を悟った俺は最後の力を振り絞り、一瞬の閃光のように輝き続けたこの数日間の生きた証を証明するべく最後の咆哮をあげた。



「ミーン、ミンミンミン、ミー」



薄れていく意識の中で、俺は最後に二人の少年の顔を見たのだった。



「お兄ちゃん!セミ捕まえたよ!ほら見て!」

「あれ?動かないじゃん?」

「さっきまで鳴いてたのに。死んじゃったのかな?」

「じゃ、お墓作ってあげようよ!」

「うん、そうしよう!」
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by earll73 | 2008-08-09 00:00 | 散文
季節の終わり
「線香花火ってどうしてこんなに切ないんだろう。」
君の問いに僕は答えられなかった。
僕は無言のまま、もう枯れて灰になってしまった線香花火の亡き骸をずっと見つめていた。
「線香花火が切ないのは花火が終わってしまうからじゃないんだ。
花火が終わったら君と離れなければならないから切ないんだ。」
結局その言葉は僕の口から出ることはなかった。
口に出してしまうとその瞬間に今が風化してしまいそうで、この一枚の水彩画のような鮮やかな刹那を永遠にこの季節に閉じ込めておくにはそうするしかなかった。
ぼんやりとした景色の中で、走馬灯のように巡りめぐる小麦色の季節の出来事。
たった今、瞼の裏に焼きつかせた線香花火のきらめきでさえ、もう随分と過去のことのように思えた。

僕にはこのはしゃぎすぎた季節の出来事を整理する作業が必要だった。
それはきっと君も同じだったのだろう。
いつもは口数の多い君も、この時ばかりはぼんやりと何か考え事をしているように見えた。
火薬の匂いの残る空気が僕らをやさしく包み込み、二人の間に訪れた穏やかな沈黙がこの季節の全て出来事を鮮やかに甦らせる。

ふと見上げた夜空には、白く淡い輝きを放つ満月が顔を出していた。
それは線香花火の儚い美しさとはまた違った、剛の美しさを感じさせる月だった。
そんな月明かりの中で見た君の横顔は線香花火よりもこの満月よりも美しく見えた。
その時僕は美というものは決して一つの形容詞なんかでは語れないのだということに初めて気が付いたのだった。

「夏、終わっちゃうね。」

じっと横顔を見つめる僕の視線に気付いてか、先に口を開いたのは君の方だった。

「そうだね。」

二人の会話はそれだけで十分だった。
夏の物語にはそんな力があったのだと思う。

ふんわりとした夏のぬけがらのような生ぬるい風が僕らの間を横切る。
それはたくさんの秘密を分け合った季節の終わりを告げる風だった。



「季節の終わりTB ~夏編~」へ参加

■□■□■□■□■【季節の終わりTB 夏編】■□■□■□■□■

【ルール】
一つの季節の終わりをみんなで共有してみませんか?
夏の終わりを感じさせるものをTBしてみてください。
フィクション、ノンフィクション、短歌、イラスト、写真などなど
ジャンルは問いません。
締め切りは秋がやってくるまで。

TB記事 http://earll73.exblog.jp/2211266

誰でも参加出来るように文末にこのテンプレをコピペお願いします。

 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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by earll73 | 2005-08-31 12:59 | TB参加
七月七日の想い
ささのはさらさら のきばにゆれる
おほしさま きらきら きん ぎん すなご
ごしきの たんざく わたしが かいた
おほしさま きらきら そらから みてる

あんなに激しく降っていた雨も夜にはすっかり上がっていた。
雨上がり独特の土と草の匂いが天然の芳香剤となって初夏の郷愁に拍車をかける。
ここから見える星空は都心とは思えないほどに瞬き輝いていて、ぼんやりとした白い月の光に照らされた君の浴衣姿は、そんな星空に負けないくらい眩しかった。
しかし、そんな輝きとは裏腹に僕は君の銀色の川に水が溢れていることに気付いていた。
溢れた水が君に不穏な影を落としていることも、君自身でさえ気付いてない、忘れられた宝石がその川底深くに沈んでいることにも。
そんなことは全く感じさせずに、君は無邪気な笑顔を見せながら笹の葉に短冊を結ぶ。
君があの短冊にどんな願いを込めたのか僕は知らない。
「銀色の川底深くに沈んだ宝石に触れられますように」
僕はそう短冊に書くと近くの笹の葉に短冊を結んだ。
夏を運んでくるような生暖かいひとひらの風が吹いて笹の葉がさらさらと揺れる。
色とりどりの短冊に込められたたくさんの想いはこの風に乗ってどこまで行くのだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら、僕は笹の葉の揺れよりも君の髪がふわりと揺れるのをずっと見ていた。
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by earll73 | 2005-07-07 11:04 | 散文